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僕たちのスタンドバイミー2





吹く風は止み、
静寂はあっけなく破られる。


止まない雨はないとか、
そんなことは別に大きな問題じゃないよ。
土砂降りと小雨は違うじゃん。
まぁそれも別に問題じゃないけど。
地が固まったところで
僕が歩くところはだいたいコンクリ。
雨垂れが僕を穿つ前に傘を差すし、
なんなら室内に入るよ。
逆に日照りが続いたらクーラーつけるし
洗顔ペーパーとか使うとひんやりして気持ちいいよ。

そうじゃない状況の人がいる事実は知っているけど、
その人たちの気持ちはわかんないかな。
想像することもできるし
擬似的に体験することもできるけど、
やっぱりその人たちの気持ちはわかるわけがないよ。

人の気持ちを知り得ることは絶対にない。


こんな簡単なこととっくの昔から知ってる。
物心ついた時にはすでに知ってた。

でも今でもそれを知ることを望んでしまうし、
妄想の力で決めつけてしまったりもする。
酷い時には特徴的な動作や表情をとらえて
いやー俺ちょっと話すとわかんだよねー。
なーんて知ったかぶったりもする。


そんなことしたってなんの意味もない。
はっきり言って無益だ。

いやそもそも意味を求めてるわけじゃないし、
たまたま当たってる場合もあるかもよ?


まぁ確かにそうではあるけれど、
正解かどうかすらわかんないよね。
たとえ正解だと言われたとしても。


ちょっと待って、
じゃあ信じるってなに?

相手がそう言ったことを信じることが、
「信じる」ってことじゃないの?
ってことは、
この人が本当のこと言ってるか、
嘘言ってるかわかんないけど、
この人は本物だ、
と仮説を立てて「信じる」っつーこと!?

僕なら
じゃあもし嘘だったら100万頂戴とか言っちゃうね。

でもそしたら
それって疑ってるってことじゃん!
信じてるわけじゃないじゃん。。。
ってなるよね、たしかに。





小学6年生の、
たしかバスケの大事な試合を控えていた
1週間前くらいのこと。
とある友人(Aとする)と、
別の友人の家に遊びに行くことになった。

そのAが僕ん家まで迎えに来てくれて、
それぞれ自転車に乗って目の前の国道を走り出した。


まぁさ、
小学生の男子ってのはもう救いようがないくらいバカじゃん?

なんでか覚えてないし
てかそもそも理由なんてなかったはずだけど、
僕は車道を走るトラックと競争を始めた。

Aのことなんてほったらかしで、
今はコイツに勝つこと、それが全てだ。
みたいなことをたぶん思いながら全力で自転車を漕いだ。

直後に全力の立ち漕ぎにバランスを失ったのか、
というより、正直あんまし覚えてないけど
次の瞬間僕の身体は宙を舞い地面に叩きつけられた。
つまり、盛大にコケたのである。

ヤベェ!
と起き上がるとAは必死に笑いを堪えながら
とても心配している風を装って
大丈夫か!?おい、大丈夫か!?
とこっちはバリバリ意識ハッキリしてんのに
まるで意識不明の人に問うように叫んでいた。



すると直後に右腕に激痛が走った。

それはビリビリッとした鋭い痛みで、
見ると小刻みに震えている。

この感覚はすでに味わった事がある。
というのもその前年に全く同じところをやっちまっていたからだ。


僕はそれを確信して、Aに自慢げに言った。


イテテ…
うわ、これ骨折。絶対骨折やわー。



バカである。



そこでハッと重大なことを思い出した。

あ!もうすぐバスケの試合じゃん!
てかトラックと競争してコケて骨折って…
言えねー!!!



A、ごめん。
骨折した理由、オカンには内緒にしてくれ。
頼む。

Aは相変わらず笑いを堪えながら
わかった。と頷いた。



家に帰って病院に直行してレントゲンを撮ったら、
案の定骨折をしていた。


…あんた、なにしたらこうなったの?

…。

なにしたらこうなったの?

…知らん。

は!? 知らんやないやろ!

言わない。

ぇえ!? いや言えよ!

言わない。

コーチ(バスケの)になんて説明するの!
聞くべきことだから言いなさい!

絶対言わない。



すると、
今度は付き添って来てくれたAをギロリと睨んだ。

なにしたらこうなったの?

えっ…いや…さ、さぁ…

一緒におったんやで知っとるやろ?
言いなさいよ。

わ…わからん。

わからんわけないやろ!
言えーーーー!

う〜〜〜〜〜〜ん…
ごめんひゅーいの母ちゃん!
おれ言えない!

おいコラー!


その日、
僕らはその辺の石ころよりも
よっぽど口を固く閉ざした。

それからAはいわゆる不良となり、
高校を卒業するころにはこの辺一帯をしめる大将となった。
子供作って結婚したけど、
車の運転席の脇のところには金属バットが常備されていた。

オカンはAに会う度あの事件の真相を問いつめたけれど
Aはとうとう口を割らなかった。
僕が内緒にしてくれと言ったのは最初の1回だけだったけど、
5年経っても10年経っても彼は誰にも言わないでくれた。



当時も、不安はなかったな。
というよりそんなこと考えてもなかったな。
コイツほんとのこと言っちゃったらどうしよう、とか。
逆にコイツは絶対に言わない!
おれはしんじる!
みたいなも思ってなかったな。



2、3年前の正月、
飲み屋で彼にバッタリ会って、
昔話に花を咲かせながら
せーのでテキーラをたくさん飲んだ。
綺麗に酔っぱらって
千鳥足で帰りながら右腕をブンブン振り回した。





あ、そうか。

信じるって相手と自分との関係のひとつの答えか。


そこに疑いとか期待とかそういうのって
そもそもないのか。
あるならそれは
信じようとするとか
信じたいであって、
信じるとはちょっと違うよな、きっと。


いつも本当のことをちゃんと話すあいつのことは
僕はなんだか信用できない。
いつも遅刻してばかりで
ロクに電話も出ないようなあいつのことは
なんでか信用できる。

これは僕の勝手な感情です。
嘘偽りの無い、自分勝手な感情です。



おーい、ごめんよ。
飲もうぜ!
おういいね!
じゃあまた連絡するわ!
おう、よろしく!
なんてやりとりばっかり何年も続けてて。

お前はたぶん信じてるよな、
また一緒に飲むこと。
この先5年経っても10年経っても信じてるよな。
わかるよ。
俺もそう。
15年経っても20年経っても
お前とまた飲めること信じてる。

仰々しく、元気か?
なんてメールすんのやめようぜ。
そんなの別にどうでもいいじゃん。
お前が元気かなんて、俺が元気かなんて
そんなの別にどうでもいいじゃん。




また飲もうね。
今度は俺がテキーラおごるよ。
いいよいいよ。何杯でも飲もうぜ。
そしたら
2人でぐでんぐでんになって、
勢いでそのままオカンに会いに行って
あの時のこと、ようやく話そうぜ。



じゃ、
それまでは変わらず内緒で頼むな。

信じてるぜ。





メンバー募集!




Daichi/ANGRY NERD

コメント
香川県ルーちゃん餃子でおなじみのフジフーヅはバイトにパワハラで指切断の重傷を負わせた糞ブラック企業
  • 名無しのリーク
  • 2016/07/22 1:51 AM
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